石川クリニックの記事
2011年4月号掲載「多様なめまいは綿密な診察で処方を」
めまい、ふらつきを愁訴とする患者さんには、それ以外に頭痛、頭重、悪心、嘔吐、肩こり、のぼせ、耳鳴り、口渇、手足の冷えや平均感覚がおかしくなるといった症状が伴う場合が多いようです。めまいといっても回転生や浮遊感のあるものなど様ざまです。
漢方では病気の原因を気、血、水の異常ととらえ、症状を腹診とを加味して診断します。めまいの多くは水と血の異常が多いのですが、神経を使いやすくちょっとした事でエヘン虫(のどの詰まりをエヘンと咳をしてとろうとする)が出て、それがとれない人のめまいは気が滞って起きるので、気の巡りを良くする順気散を用います。腹診で体力の有無を診て、気滞症の代表処方の一つである半夏厚朴湯を用いることが多いです。
腹診で胸脇苦満があれば、程度により大柴胡湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、加味逍遥散を用います。
また、振水音がある場合によく用いられる処方が苓桂朮甘湯です。これは起立性調節障害や一過性の仮性近視にも効果があり、船酔いや飛行機酔いにも効くようです。平素から胃腸の弱い方には半夏白朮天麻湯を処方します。
動脈硬化が背景にある、朝の頭痛を伴うめまいには釣藤散がよいでしょう。お年寄りで冷え性が強く、お腹が弱く浮遊感が強い人には真武湯が著効を示すことがあります。簡単な様でなかなか難しいのがめまいの様ですので、専門医によく診てもらうことが肝要です。